封のない遺言は有効?無効?

臼杵市役所真ん前の朝川司法書士事務所の朝川です。

めっきり風が冷たくなる今日この頃ですが、

先日、相続についてご相談にいらした方に

遺言はありますか?と尋ねたところ

「遺言はあったんですが、封がされてなかったので無効と言われました。」

との驚きの返答がありました。

どうやら葬儀社さんと話したときに言われたそうです。

確かに、封のない遺言は一見無効に見えますが

大間違いです。

有効です。

手続にも当然使えます。

自筆証書遺言の条文は以下の通りです。

(自筆証書遺言)第九百六十八条 

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

つまり、①全文②日付③氏名を④自書(手書き)で⑤印を押す。

たったこれだけです。

つまり、封筒に入ってなくても有効です。

さらに、押す印鑑が実印でなくてもよいのです。

私もタッパーに入った遺言をお預りしたことがあります。

葬儀社の方も悪意無く雑談気分で話したのかもしれませんが、

無効だと言われて遺言はないものだと勘違いさせた場合

相談の時に「遺言はありません」と言われてもおかしくありません。

遺言とは文字通り

亡くなられた方が最後にした

です。

これが間違った思い込みで蔑ろにされる寸前だったという事です。

遺言は専門家が居なくても書ける?

よく相談で聞かれるのが、

「遺言は自分で書けますか?」

という質問やご相談です。

答えとしては、

書けます。

先ほど書きましたように、

手書きで日付や全文を書いて何でもいいから印鑑を押せば完成です。

書くだけなら、紙とペンと印鑑があれば何時でも何処でも簡単に書けます。

ただ、本当に書きさえすればよいのでしょうか?

大切なのは思いを実現すること

仮に、遺言書を書きさえすればよいのなら

先の例は、遺言を作るという観点からすれば目的は達成しています。

しかし、死後に封筒に入っていないことで危うく無効なものと扱われるところでした。

つまり、遺言を単に作るだけでは死後安心することは出来ないという事が分かります。

なぜなら、遺言を書くこと自体が目的なのではなく、

死後のことを思い言葉を残し、その言葉を実現することです。

これを分析し、分解していくと

  1. 遺言に万人が分かる言葉で思いをつづる。
  2. 遺言を残された人の手元に届くようにすること。
  3. 遺言を正しい手続のもとに実現できるよう準備すること。

の3点が重要なポイントだとわかります。

今回の例は③を軽視したため問題が発生したといえます。

では、どのようにすれば問題の発生は防げたのか?

これに関しては、また次回…

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